配信先に合わせた動画のファイル形式と書き出し設定の基礎知識

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動画編集未経験・初心者向けの記事です。

動画編集が完了したら、「動画ファイルに書き出し(エクスポート)」の工程になります。

どのように設定したらよいか迷う方へ。
作成した動画を最適な形で保存・配信するための書き出し(出力)設定やファイル形式について、動画編集スクールFURWA(ふぅわ)が初心者向けに説明します。

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動画書き出しの基本とは?

動画編集したままの状態では、編集ソフト上でしか再生されません。
動画編集の最終工程とも言える「書き出し(エクスポート)」は、あなたが編集した動画を、使用したソフトがなくても、再生可能な動画ファイルに変換するプロセスです。
この工程は、単に「保存する」だけでなく、映像の品質、ファイルサイズ、互換性、そして最終的な配信環境に大きな影響を与える非常に重要な工程です。

Adobe Premiere Proのタイムラインの使い方

動画書き出しの役割と必要性

プロジェクトの完了を形にする

  • 最終出力:タイムライン上の映像、音声、エフェクト、タイトルなどすべての要素を一つのファイルにまとめて、最終的な作品として仕上げます。
  • 再生・配信の準備:編集ソフト内でのプレビューは一時作業環境上のものであり、実際に視聴される際は動画ファイルとして書き出す必要があります。

配信先に合わせた最適化

  • プラットフォームの仕様に合わせる:YouTube、Instagram、Facebookなどの各配信プラットフォームには推奨するファイル形式、解像度、フレームレートなどの設定があります。
  • 互換性の確保:適切なファイル形式(コンテナ)やコーデックを選ぶことで、視聴者がどのデバイスでもスムーズに再生できるようになります。

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書き出し(出力)設定の主な項目

動画書き出し(出力)の際に設定する主要な項目について紹介します。

動画編集前の準備(素材の収集)

1.解像度(画面サイズ)の詳細

定義と種類

解像度とは、画面上に表示されるピクセル(ポイント)の総数を言い、一般的には横×縦のピクセル数で表現されます。

主な解像度(画面サイズ)
  • 720p (1280×720) : 軽量で、スマホや低帯域のインターネット配信向け。
  • 1080p (1920×1080) : 最も一般的なフルHD。ほとんどのデバイスで再生可能。
  • 1440p (2560×1440) : 4Kほどファイルが重くなく、画質向上を目指す中間層向け。
  • 4K (3840×2160) : 超高精細映像。大画面や高品質配信、オンライン編集を考慮する場合に適する。

選び方とポイント

用途に応じた選択
  • ウェブ配信やSNS:1080pや720pで十分な場合が多い。
  • プロフェッショナルな映像制作や大画面表示:4Kやそれ以上の解像度を選ぶ。
注意点
  • 高解像度は画質が向上する一方、ファイルサイズやエンコードの時間が増加。
  • 撮影時の解像度より高い設定は意味がなく、逆に低い解像度にダウンコンバートする場合は品質劣化のリスクも。

実際の設定例

  • YouTube : 1080p の場合、1920×1080 ピクセルの設定が推奨されます。4K 映像の場合も、視聴環境やアップロード時間を重視して選択してください。
  • スマートフォン:縦型動画の場合は1080×1920ピクセル(または720×1280ピクセル)など、縦横比にも注意が必要です。
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2.フレームレートの詳細

定義と種類

フレームレート(fps)とは、1秒間に表示されるフレーム(静止画)の枚数のことで、【時間:分:秒:フレーム】の順で表示されることが多いです。

主なフレームレート
  • 24fps:映画で一般的。シネマティックな表現が可能。
  • 30fps(29.97fps:テレビやウェブ動画でよく使われ、自然な動きに。
  • 60fps:スポーツや動きの激しいシーンに適用。スローモーションにしたいビデオに使われることも。

選び方とポイント

用途に応じた選択
  • 映画や風のドラマ演出:24fpsがよく選ばれる。わずかなブレやモーションブラーが映像に独特の雰囲気を与える。
  • スポーツやアクション:60fpsで撮影することで激しい動きもスムーズに再現。
注意点
  • 撮影時のフレームレートと書き出し設定は一致させるのが理想的。変換すると、動きのカクつきや不自然な映像になる可能性がある。
  • 高いフレームレートは、1秒あたりのフレーム数が多いため、ビットレートやファイルサイズの増加につながる。

実際の設定例

  • YouTube : 多くの場合30fpsが選ばれる。
  • スポーツ動画やゲーム実況:60fpsを選ぶことでスムーズな動きを表現。

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3.ビットレートの詳細

定義と種類

ビットレートは、1秒間に使用するデータ量を表し、通常はKbps(キロビット毎秒)やMbps(メガビット毎秒)で表記されます。

役割
  • 高いビットレートは高品質な映像を提供しますが、同時にファイルサイズが大きくなります。
  • 逆に低いビットレートでは、データ量が少ないためファイルサイズが小さくなり、映像がブロックノイズやアーティファクトを起こすリスクがあります。

CBRとVBRの違い

CBR(固定ビットレート)
  • 一定のビットレートを維持する方法。
  • 映像全体で一定の品質を視聴したい場合に適しており、ストリーミングに向いています。
VBR(可変ビットレート)
  • 映像の内容に応じてビットレートを変動させる方式。
  • 複雑なシーンではビットレートを高く、シンプルなシーンでは低いので、効率的な圧縮が可能です。

選び方と計算例

用途に応じた選択
  • 1080p動画:8~12Mbps程度が一般的。
  • 4K動画:35~45Mbps、場合によってはそれ以上も。
ファイルサイズの目安
  • 例:30分の1080p動画を10Mbpsで書き出す場合
  • 10Mbps = 10,000,000ビット/秒
  • 30分 = 1800秒
  • 総ビット数 = 10,000,000 × 1800 = 18,000,000,000ビット
  • これをバイトに換算すると(8ビット = 1バイト)、約2.25GB前後となります。

実際の設定ポイント

オンライン配信向け:高速インターネット回線を前提とする場合、ビットレートを高く設定しても問題はありませんが、視聴者の接続環境も考慮して選ぶとバランスが取れます。

動画制作の工程-旅行のビデオ
動画制作の工程-旅行のビデオ

4.オーディオ設定の詳細

サンプルレート

サンプルレートとは、1秒間に記録される音声サンプルの数を指します。

一般的な設定
  • 44.1kHz:市販の音楽CDで採用される標準サンプルレート。
  • 48kHz:映像制作でよく使用される。映像と音声の同期や高品質な音声再生に向いている。

チャンネル

  • モノラル:単一の音声チャンネル。ファイルサイズが小さくなり、音声が中央に集中します。
  • ステレオ:左右のチャンネルに音を振り分け、より立体的な音響を実現します。
  • サラウンド:5.1chや7.1chなど、複数のスピーカーを利用する環境での再生に適しており、臨場感が増します。

オーディオビットレート

オーディオビットレートとは、1秒あたりの音声データ量を表し、一般的には128~320kbpsが用いられます。

役割
  • 高いビットレート:クリアで豊富な音声を提供しますが、ファイルサイズは大きくなります。
  • 低いビットレート:ファイルサイズは軽減されますが、音声に影響が出る可能性があります。

選び方とポイント

配信先や用途に応じた選択
  • 音楽重視の映像:高いビットレート(256~320kbps)を選ぶと、豊かで奥深い音の表現が可能。
  • トーク中心やファイルサイズ重視:128~192kbpsな場合が多い。
サンプルレートとチャンネルの組み合わせ

映像制作では、48kHzステレオが基本設定となることが多いですが、ポッドキャストやインタビュー映像ではモノラルでも問題ないケースもあります。


実際の設定例

  • 映画やドラマ:48kHz、ステレオ、ビットレート256~320kbps
  • オンライン配信向けのVlog:44.1kHz~48kHz、ステレオ、128~192kbps

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ファイル形式の基礎知識

映像を最適な形状で保存・配信するためには、ファイル形式(コンテナ)とコーデックの理解が必要です。
これらの知識があると、用途や再生環境に合わせた最適な向き設定ができ、トラブルを防ぐことができます。

ファイル形式(コンテナ)とは?

ファイル形式(コンテナ)の役割

ファイル形式(コンテナ)は、映像、音声、字幕、メタデータなど複数のデータをひとつのファイルにまとめる「入れ物」の役割を果たします。

適切なコンテナを選ぶことで、様々なデバイスやプラットフォームでの再生や、編集ソフトとの互換性を確保できます。

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ファイル形式とその特徴

① MP4(MPEG-4)

特徴
  • 高い互換性:ほぼ全てのデバイス、ブラウザ、スマートフォン、タブレットで再生可能。
  • 圧縮効率が良い:映像と音声を高い品質で効率的に圧縮できる。
  • シンプルな構造:複雑な設定が不要で、初心者にも扱いやすい。

おすすめシーン:YouTube、SNS、ウェブ配信など、広く再生される環境向け。

② MOV(QuickTimeファイル形式)

特徴
  • Apple社が開発:Appleのソフトウェア(Final Cut Proなど)との親和性が高い。
  • 高品質:高ビットレートや高解像度の映像に適し、編集作業にも向いています。
  • 柔軟なメタデータ管理:撮影時の情報やエフェクト情報を豊富に保持できる。

おすすめシーン:プロフェッショナルな映像制作、Apple製品との連携が求められる現場。

③ AVI(オーディオビデオインターリーブ)

特徴
  • 旧来の形式:Microsoftが開発した歴史ある形式で、編集時の自由度は高い。
  • 非圧縮または低圧縮の場合が多い:ファイルサイズが大きくなる傾向にあり、保存や転送で負担がかかります。
  • 制限点:新しい圧縮技術(H.264、H.265など)に比べて互換性や効率性で劣る場合がある。

おすすめシーン:編集環境内での中間ファイルとして使用する場合や、特定のアーカイブ用途で利用されることが多い。

※近年では、MKV(Matroska)やWEBMといった形でも登場しており、用途に応じた選択が進んでいます。

動画制作の工程-料理番組・レシピ動画
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ファイル形式とコーデックの選び方のポイント

用途と再生環境に合わせる

ウェブ配信・ストリーミング
  • ファイル形式:MP4
    ほぼすべてのウェブブラウザ、スマートフォン、タブレット、スマートTVなどで再生可能です。
    HTML5動画プレーヤーや主要なストリーミングサービスもMP4を標準フォーマットとして採用しているため、エンドユーザーに違和感なく視聴体験を提供できます。
  • コーデック:H.264
    ほとんどのデバイスやブラウザがH.264に対応しているため、確実に視聴可能。随時エンコードやライブストリーミングに向いており、設定も比較的シンプルです。
    同等の視聴を維持しながら、より低いビットレートでエンコードするH.265も選択肢の一つですが、対応していない古いデバイスや一部のブラウザも存在するため、視聴環境やユーザーを十分に考慮する必要があります。
プロフェッショナルな編集や高品質な映像制作
  • ファイル形式:MOV
    AppleのQuickTime技術に基づいているため、Final Cut Proやその他のプロフェッショナル編集ソフトとの互換性が非常に高く、高解像度や高ビットレートの映像も問題なく扱えるため、編集作業での色補正やエフェクト処理において、データの忠実性が保たれます。
  • コーデック:無圧縮または軽圧縮形式
    編集作業では、元の素材の劣化を防ぐため、無圧縮または軽圧縮(例:Apple ProRes、Avid DNxHDなど)のコーデックを置くことが多いです。

互換性と将来性を考慮する

  • 互換性:配信先のデバイス、ウェブプラットフォーム、さらには視聴者の環境(ブラウザ、OSなど)を理解し、最も広くサポートされる形式・コーデックを選ぶことが重要です。
  • 将来性:技術の進歩とともに、新しいコーデック(例:将来HEVC、AV1)が普及していく可能性があります。長期的なアーカイブや高品質配信を視野に入れる場合は、今後のサポート状況もチェックしましょう。

目的や配信先、そして使用するハードウェア環境に合わせたファイル形式とコーデックの選択は、動画編集の最終出力の重要ポイントです。
プロジェクトごとに正しい組み合わせを選ぶためにも、それぞれの形式・コーデックの特徴をしっかり把握しておくことが大切です。

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YouTube向け設定

  • ファイル形式:MP4
  • コーデック:H.264
  • 解像度:1080p(フルHD)または4K
  • フレームレート:元の映像に合わせる(通常30fpsまたは60fps)
  • ビットレート:1080pなら8~12Mbps程度、4Kなら35~45Mbps程度を目安に

Instagram向け設定

  • ファイル形式:MP4
  • コーデック:H.264
  • 解像度:ストーリーズやリールは縦型(例:1080×1920ピクセル)
  • フレームレート:30fps
  • ビットレート:3~5Mbps程度で十分な場合が多い

FacebookやTwitter向け設定

  • ファイル形式:MP4が主流
  • コーデック:H.264
  • 解像度:720p~1080p
  • フレームレート:30fps前後
  • ビットレート:配信環境に応じた適切な設定を選びましょう

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実際の書き出し手順とヒント

動画編集環境(空想)

編集ソフトでの書き出しの基本的な流れ

  1. プロジェクトの確認:タイミング、音声、エフェクト、テキストなどを最終確認
  2. 出力画面:「エクスポート」または「書き出し」メニューから設定画面を開く
  3. プリセットの利用:多くの編集ソフトでは、YouTubeやInstagram向けのプリセ​​ットがご用意されており、これを利用する場合が多い
  4. 設定:解像度、フレームレート詳細、ビットレート、オーディオ設定などを確認・調整
  5. 最終出力:出力先のフォルダやファイル名を設定し、動画ファイルに書き出しを開始する

書き出しの注意点

  • プレビューでチェック:当面前に設定内容を再確認し、プレビューで問題がないかチェック
  • ファイルサイズのバランス:高品質すぎるとファイルサイズが大きくなり、アップロードや保存に時間がかかる場合がある
  • テスト:長い動画の場合、部分的に出力テストを行い、設定の最適化を考える

まとめ

動画の書き出し設定とファイル形式の選択は、完了した映像の品質と視聴環境での再生に大きく影響します。

初心者でも、上記のポイントを押さえて、自分の作品がどこで、どのように再生されるかを常に意識しながら、最適な設定を見つけてください。

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